みなさんこんにちは
ソウルの朝晩は厳しい寒さが続いていますが、日中には気温が上がり、
少しずつ暖かさが感じられる気候になってきました。
韓国では3月からが新学期となり、新しい制服を着て通学する学生たちの姿があったり、
デパートやスーパーマーケットなどでは、学生カバンや文房具商品の特設コーナーが登場しています。
日本よりも一ヶ月早く新たなスタートのシーズンを迎えています。
今回は昌慶宮(창경궁/チャンギョングン)をご紹介します。
昌慶宮は、世界遺産に登録されている昌徳宮に隣接した離宮です。
1418年、朝鮮王朝第4代国王・世宗の時代に、
退いた第3代国王・太宗が穏やかな余生を送れるようにと創建し、
当時は寿康宮(수강궁/スガングン)と呼ばれていました。
その後の1484年、第9代国王・成宗の時代に、三人の大妃たちのために修復され、
現在の昌慶宮という名前に変わったといわれています。
正宮である景福宮の東に位置していることから、昌徳宮と共に東闕(동궐/トングォル)とも呼ばれていました。
日本統治時代には、動物園と植物園が設置され、昌慶苑という名前で一般に開放されたという歴史もあります。
1983年に動物園が移転され、宮殿としての姿を取り戻すための修復工事が行われました。
昌慶宮は、宮殿の多くが南向きに建てられているのに対して、東向きに配置されているという特徴をもっています。
これは自然の地形を考慮したということや、
歴代の王と王妃が祀られている宗廟が南側に位置しているためともいわれています。
弘化門(ホンファムン)は、昌慶宮の正門です。
中心部分が東向きであることから、正門も東側に建てられています。
現在正面には、ソウル大学病院の施設が立ち並んでいます。
1484年、成宗の時代に創建され、文禄の役で多くが焼失しましたが、1616年の第15代国王・光海君の時代に再建されました。
2階建ての楼閣型木造建築物です。
弘化門を通過したところには風水の考えによる明堂水の禁川が流れています。
川には、500年以上の歴史を持つ玉川橋(オッチョンギョ)が架けられています。
明政殿(ミョンジョンジョン)は、昌慶宮の正殿です。
即位式、科挙試験、宴会などの公式的な行事が行われていました。
明政殿も文禄の役で焼失し、1616年に再建され現在に至っています。
現存する宮殿の正殿の中でも最も古い建造物です。
景福宮や昌徳宮に比べて規模が小さいのは、もともと政治のために建てられたものではないためです。
内部には王の玉座が見られます。
正殿である明政殿横には、明政殿に背を向けて建つ珍しい配置構造の文政殿(ムンジョンジョン)があります。
文正殿は王の公式執務室となっています。
日本統治時代に破壊され、1986年に復元されました。
第22代国王・正祖の父(荘献世子)は、第21代国王・英祖によって文正殿の前庭に置かれていた米びつに閉じ込められ、非業の死を遂げました。
正祖を主人公に描いたドラマ『イ・サン』にも、このシーンが登場します。
昌慶宮の北側には月覲門(ウォルグンムン)という門があります。
この門は、正祖の父の祠堂である景慕宮を参拝しに行くために造った門といわれています。
正祖の父親に対する強い思いが感じられます。
涵仁亭(ハミンジョン)は、もともと仁陽殿という建物があったところに、1633年に建てられました。
現在は壁のない建物ですが、当時は3面に壁があったといわれています。
建物の前には庭が広がり、さまざまな公演が行われました。
歓慶殿(ファンギョンジョン)と景春殿(キョンチュンジョン)は、王と王妃の生活空間である寝殿です。
歓慶殿では、ドラマ『宮廷女官チャングムの誓い』でも有名になった大長今が、第11代国王・中宗の治療を行ったところでもあります。
内殿の最も奥に位置する、養和堂(ヤンファダン)と通明殿(トンミョンジョン)も寝殿として使われたところです。
建物の西側には特徴的な泉や池も造られ、装飾が施されています。
これらの建物は、焼失と再建を繰り返して、1834年に再建されました。
昌慶宮には、春塘池(チュンダンジ)と呼ばれる大きな池があります。
王自らが、農作業を行った水田があったところです。
もともとは小さな池と水田でしたが、日本統治時代に池を掘ってボート遊びをする場所として使われたため、
現在の大きな池になったといわれています。
池の周りにはベンチが設置され、珍しい白松の木なども見ることができます。
さらに池の奥には、自然植物学習場や大温室があります。
大温室は1909年に完成し、植物園として開放されました。
西洋的なガラス張りの温室になっています。
王室の紋様であるスモモの花模様が施されているのも特徴となっています。
現在もさまざまな植物が展示されています。
宮殿には、各時代の王や王妃の逸話なども残されていて、大変興味深いです。
韓国ドラマに登場する王たちのワンシーンに重ねて見学してみるのも一つの楽しみ方です。
古宮それぞれに違った特徴を見ることができます。
韓国旅行へお越しの際は、韓国の古宮も見学してみてください。