宗廟大祭(チョンミョテジェ/종묘대제)

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こんにちは、ソウルツアーです。お天気が不安定な日が続く今日この頃ですが、1年の中でも比較的気候の安定した5月に突入し、各地ではさまざまなイベントが行われています。
今回は、韓国内でも最も大きな伝統行事の一つである宗廟大祭(チョンミョテジェ/종묘대제)をご紹介します。
毎年5月第一週目の日曜日に行われる宗廟大祭ですが、今年は5月1日に行われました。
年に一度の大行事として地元の韓国人だけではなく、韓国で勉強する外国人留学生、観光客、テレビや雑誌などのメディア関係者など、多くの人々で大変混雑していました。

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宗廟(チョンミョ/종묘)は、朝鮮時代の歴代王と王妃の位牌を祀って祭祀が行われる所です。朝鮮が建国され、都が開城から漢陽(現在のソウル)に移された時に、王宮の建造よりも先に議論されたのが、宮殿(景福宮)の左側には先祖に国の安寧を祈る祠堂として宗廟、右側には土地や穀物の神に祭祀を行う社稷壇(サジッダン)を建設するということでした。朝鮮において代々の先祖の祭祀を行うことの重要性が分かります。
この宗廟で行われる祭祀が宗廟大祭です。宗廟は、同時代の木造建築の中でも規模が大きいことや、儒教の気風が込められ、東洋の古代文化を研究するための貴重な資料であることが認められ、1995年にユネスコ世界文化遺産に登録されました。

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王が王宮から宗廟へお出ましになる過程が御駕行列です。景福宮を出発して世宗路を通過し、宗廟へ向かいます。約1,200名にも及ぶそれぞれの役割を担った臣下、護衛部隊の行列からは、宗廟大祭の規模の大きさが分かります。
それぞれの役割ごとの衣装も多様な色使いで見所の一つと言えます。 昔の王朝の王と王妃のために行われる祭祀が600年以上も受け継がれていることは、世界的にも類を見ない高い価値があり、2001年には宗廟大祭と宗廟祭礼楽がユネスコ無形文化遺産として登録されました。今年はユネスコに登録されてから10周年を迎えた節目の年でもあります。

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宗廟での祭祀は王が自ら行う国家祭礼として、全ての祭祀の模範ともなっていたため、一つ一つが厳格な格式と手続きで行われています。祭祀を行う人々は、何日も前から身を清めて準備を始めます。
そして当日は、祀られた神を向かえることから始まり、決められたお供え物やお酒がそれぞれの王と王妃の位牌の前に供えられます。観覧者席から正殿の建物までは距離があるため、正殿内部の様子は大型スクリーンにて映されます。聞き慣れない祭祀の際に使われる昔の言葉も多いため、スクリーンでは分かりやすく解説されていました。外国人も訪れているため、韓国語だけではなく英語での解説もあります。

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宗廟祭礼楽は、祭器の演奏、歌、舞によって先祖の業績を讃えると共に、世界を調和させて平和にするという意味があります。
正殿の建物の前に広がる月台と呼ばれる場所で演奏、舞が行われます。64人が8列に並んで一同に舞う佾舞(イルム)は、中国の雅楽から伝わった舞踊です。佾とは列を作って踊るという意味があります。激しい体の動きはありませんが、一つ一つの動作に意味があり、音楽の流れにそって一同に手や体を動かす動作からは、迫力さえも感じられます。祭祀の際に使われる、色鮮やかで珍しい形をした楽器も見所の一つです。

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いつもはとっても広いと感じる正殿も、祭祀の関係者や世界から集まるゲスト、観覧客を含めて多くの人々が集まり祭礼行事を見守りました。混雑によって正殿の中に入ることが出来なかった人々も、年に一度の大行事を見学するために、正殿の門の外側から中の様子を見学しようと集まっていました。正殿の外にはスクリーンも設けられ、内部の様子を見学することが出来ました。

世界的に高い価値を認められた世界文化遺産の中で、実際に行われる無形文化遺産の行事を見学出来ることは世界的にも貴重な事であると言われています。季節の花々も美しいこの時期に、大変すばらしい伝統行事を見学することが出来ました。 みなさんも機会がありましたら、韓国の伝統行事を見学してみて下さい。

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