2013宗廟大祭

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みなさんこんにちは

今週に入ってからは朝から気温が上がり、暖かい気候となっています。
最近は特に週末にかけて、各地でさまざまなお祭りやイベントが開催されています。

今回は宗廟大祭(종묘대제/チョンミョデジェ)をご紹介します。
宗廟大祭は、毎年5月の第一日曜日に宗廟で行なわれる祭礼儀式です。
今年は、先週末5月5日(日曜日)に開催されました。
世界遺産に登録されている宗廟は、朝鮮王朝の歴代王と王妃の位牌が奉安され、祭祀が行われる場所です。

宗廟では、もともと年に5回行なわれていた祭礼儀式ですが、現在は年に1度だけ行なわれています。
韓国を代表する大規模な行事の一つです。
宗廟大祭は、重要無形文化財第56号に指定されると共に、ユネスコの世界無形遺産にも登録されています。
有形と無形の世界遺産を同時に鑑賞できることは、世界でも類のない儀式といわれています。

いつもは神聖な場所として、都会の中心とは思えないほどの木々と静けさに包まれていますが、
宗廟大祭の当日には、各地から多くの観覧客が訪れます。

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宗廟大祭当日は、御駕行列から始まります。
王が、正宮である景福宮から宗廟へと向かう行列を再現しています。
光化門前の世宗路から鍾路へと続く道路が通行止めになります。
行列には、歴史時代劇に登場するような衣装を着たさまざまな部隊が続きます。
護衛部隊の後には、王や王世子役の姿も見られました。
祭礼儀式だけではなく、約1,200人が動員された大行列も見所となっています。

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こちらは正殿の隣に位置する永寧殿で行なわれた祭礼儀式の様子です。
祭礼儀式は、永寧殿から行なわれた後、正殿で行なわれます。
宗廟の中心となる正殿には、朝鮮王朝の創始者である太祖や歴代王の中でも
功績を収めた王と王妃の位牌が安置されています。
そして永寧殿には、没後に位を贈られたり、正殿から移安された王と王妃の位牌が安置されています。
位牌が安置された建物の扉は、通常は閉められていますが、
儀式が行われるこの日は、扉が開けられ神室内が見られます。
祭礼儀式は、伝統的な手順に従って厳かに進められます。
永寧殿も正殿も約2時間に及ぶ儀式となっています。

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国家祭祀は、一般家庭で行なわれる祭祀とは異なり、お供え物の種類も多く、一つ一つに重要なしきたりがあります。
儀式当日に向けての準備も、多くの時間がかけられていることが分かります。
王や祭官、楽隊が身に付ける伝統的な衣装や装飾品は大変美しいです。
祭官だけでも約200人といわれ、儀式を進める人々や関係者を合わせると、
相当な人数の人々が宗廟大祭に携わっています。

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宗廟祭礼楽は、楽器の演奏、歌、踊りによって、王の功績が称えられます。
祭礼楽の内容一つ一つにも、学問、功徳、軍事上の功績など、さまざまな意味が込められています。
楽隊の配置にも「天」と「陽」、「地」と「陰」などが象徴されています。
儀式では、国の安寧や豊作なども祈願されます。
博物館などに展示されている伝統楽器も、直接見たり音色を聞くことができる貴重な機会です。

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儀式が行われる施設の中も外も多くの観覧客で混雑します。
外国人観光客の姿も多かったです。

外側では、内部の様子を映す大型スクリーンが設置されています。
観覧席からは、神室内で行なわれる儀式の様子を見ることは難しいため、
ライブ映像を通して見学する観覧客もたくさんいます。

宗廟大祭当日の宗廟内は、無料で見学することができます。
儀式の詳細が記載された日本語のパンフレットも配布されています。

宗廟大祭は、600年の歴史を受け継ぐ伝統儀式です。
朝鮮王朝の歴史や韓国の儒教精神にも触れることができます。

韓国旅行へお越しの際は、伝統行事なども見学してみてください。