韓国の冠婚喪祭

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日本では、「冠婚葬祭(かんこんそうさい)」と書くが韓国では「冠婚喪祭(クァンホンサンチェ)」と書く。 人間が生きていくのに欠かす事ができないのが冠婚喪祭である。人は生まれてから息を絶つまで、そして死んだ後にも数々の催し物がある。冠婚喪祭は、家族や親戚、親しい関係の間で行われる催し物・行事などである。 元々は東洋の儒教の思想の延長だが、現在は通過儀礼の一種としても扱われている。

韓国では、新羅時代から高麗時代にかけて仏教と儒教の様式を混合させた常例が行われていた。中国から 《朱子家礼》が入り、朝鮮前期には排仏崇儒を強行した影響で仏教意識は消え、儒教意識だけが残り現在に至る。

国家で国民を守るのが憲法、人が守らなければならないのが礼法である。礼法は冠禮(クァンレ)、婚禮(ホンレ)、喪禮(サンレ)、祭禮(チェレ)の4つに大きく分かれる。これを冠婚喪祭という。

冠禮は、東洋社会で15~20歳になる男性/女性が成人として認められながら、幼名を捨てる成人禮である。男性は、成人禮の時には髪の毛を全て上の方で丸くまとめる(サントゥと呼ぶ)。そして冠帽(クァンモ)と呼ばれる帽子を被る。 そして女性の式は、筓禮(ゲレ)と呼ばれ、髪型は笄(ピョニ)と呼ばれる簪(かんざし)を刺した髪型が施される。冠禮や筓禮の儀式を行って初めて成人として認められる。 現在では満20歳に成人として認められる。日本では1月15日が成人の日だが、韓国では毎年5月3週目の月曜日が成人の日と指定されている。 特に日本では、鮮やかな晴れ着や振袖を着て成人式を祝うが、韓国では、晴れ着や韓服を着る習慣はなく、バラや香水などのプレゼントをしたりする。そして、付き合っている相手からの初めての甘いキスのプレゼントをする日などとして、恋人同士にはさらに特別な記念日として盛り上げている。

婚禮は結婚式の事である。男女が夫婦として新しい人生の出発をする儀式である。 現代の一般的な結婚式は、日本の結婚式とは違い、とても時間が短くあっさりとしているところが特徴である。日本では結婚式の後に披露宴が行なわれるが、韓国ではビュッフェスタイルの食事が用意されることがほとんどである。また結婚式の後に、弊帛(ペベック)と呼ばれる韓国の伝統的な結婚の儀式が行なわれる場合もある。これは、花嫁が始めて花婿の家族に挨拶する儀式である。

韓国のお祝儀
結婚式に行くとお祝儀を渡すのが常識である。韓国のお祝儀は、日本と同じように自分と関係が近い程金額が高くなる。また韓国の結婚式は、招待状を貰っていない人も結婚式に参加する事ができるのでとても多くの人が訪れる。その為、家族や親戚はもちろんだが、親しい友達や会社の同僚、近所に住む人、仕事の取引先といったように様々な関係の人々が訪れる。

  • 知人:3万ウォン~5万ウォン
  • 友達/同僚/遠い親戚む:5万ウォン~10万ウォン
  • 親しい友達:10~30万ウォン
  • 親戚:10~30万ウォン

上の表はお祝儀の平均相場である。
特に韓国では、割り切れない数のお札をお祝儀に入れる事が礼儀である。
それは古くから伝わる陰陽五行理論から来ている。陰陽五行理論では奇数は陽、偶数は陰を表し、奇数が縁起が良いとされて奇数を出すのが主流になったからである。
代表的な例としてお正月(1月1日)、3月の節句(3月3日)、端午の節句(5月5日)、盂蘭盆(7月7日)、御九日(9月9日)などがあります。

同姓同貫結婚
韓国では日本と違い男女が結婚しても性は変わらない。ただし子供の性は父親の性を引き継ぐ。
(ただし離婚などによって母親の姓を引き継ぐ場合もある)
また、韓国では昔から同じ性、同じ本貫(同じ発祥地を表す宗族)の人とは、結婚できないという規則があった。
これは同一父系集団であると考えられたからである。
だが最近では、法が見直されて結婚ができるようになった。昔は人口が少なく、一つの村で住む人々はほとんど同姓で同じ本貫であった為、倫理的な理由と優生学的な理由で禁止されていた。

喪禮は葬式の事である。人間の死という厳肅な事態に直面し、人の死を弔うために行われる重要な禮法である。これは、世界共通の禮法である。 韓国の葬式は自宅で行なうものだったが、最近ではアパート暮らしをする家族が増えた為に病院、斎場などで行なう方が多くなった。そして韓国の葬式は3日続けて行なわれる 葬式の作法は基本的に儒教に基づいているが、祭壇には十字架や屏風が置かれたりと様々である。昔は儒教的な思想によって土葬されていましたが、最近では韓国の土地の問題も大きく、火葬する所も増えています。

喪服について
喪服は喪主が誰になるか、または期間や年齢によって着方などの違いがある。伝統葬祭の喪服は複雑で迷信的な要素を持ったものがたくさんある。 直系孫に当たる男性は黒い色の服に黒いネクタイ、そして女性は黒色の韓服(昔の伝統では白い韓服)を着用する。また、喪章は2行の黒い帯、そして直系子孫は1行の黒い帯である。その他の8村以内の親戚の場合は黒い帯ではない喪章を左腕に付ける。女性の場合は、チョウ柄の白い喪章を左の胸に付けたり白いピンをして区別される。

葬式のマナー
服装-派手な服装は慎む。また露出も慎み黒いスーツに白いブラウスが良い。 表情・態度-葬式ではどんなに親しい友達がいても笑う事は不常識である。また、誰かに話す時は必ず静かに話す。また、化粧を薄くするのが礼儀である。

お辞儀について
 方法
① 両手を合わせ胸の位置に置きながらお辞儀をする。
② 両手はそのままで体をゆっくりと地面に落とし正座になる。
③ 両手とおでこを地面に向ける。

故人に対して: 2回のお辞儀(土下座)
喪主に対して: 土下座ではなく簡単に向き合いながら上体を落とすお辞儀をする。
慰労の言葉は喪主へ話せない場合も対面していれば大丈夫である。ただし、長い話は失礼である。

扶助金について
日本では香典と言うが、韓国では扶助金(ブジョグム)と呼ばれている。扶助金は故人と喪主にお辞儀をした後、専用の受け取り場所に渡す。相場は3万ウォンであるが自分との関係によってそれぞれ変わる。

食事について
弔問をした後に食事を食べなくてはならない。弔問だけをして出て行くのは失礼である。 墓祭(ミョジェ)-お墓で行なう祭祀

亡くなった先祖を追慕して祀る事である。韓国では祭祀(チェサ)とも呼ばれ種類も様々である。
凶祭(ヒュンジェ)-葬式が終わった後、行なう祭祀である。亡くなった年から3年間は喪服を着て祭祀が行なわれる。
茶禮(チャレ)-1年に4回の祭祀が行なわれ元旦の祭祀、4月の韓食祭祀、8月中秋(チュソク)の秋夕祭祀そして同志祭祀の事を言う。
忌祭(キジェ)-先祖、家族の命日に行なう祭祀。
墓祭(ミョジェ)-お墓で行なう祭祀。