「『いつでも自分の居場所はある』という思い上がりがありました。でも、あのとき、本当にいろいろなことを学びました」(笑)
俳優キム・スンウはひどいスランプに陥った時期を振り返りながらも笑顔を浮かべた。
今月14日公開の映画『俺はパパだ』(チョン・マンベ、イ・セヨン監督)では初の悪役に挑戦した。「第2の全盛期」と言っていいほど、40代の俳優陣のうち最も旺盛な活躍ぶりを見せている。
2009年のKBSドラマ『IRIS-アイリス-』では「狂った存在感」という異名を取った。さらに、映画『戦火の中へ』やKBSのトーク番組『乗勝長駆』など、テレビに映画にと大忙しだ。
しかし、そんなキム・スンウにも不本意ながら「失業期間」があったという。
「06年の映画『恋愛、その耐えられない軽さ』撮影後、不思議と仕事が入って来なくなったんです。初めはちょっと休もうと思っていたのですが、その期間が2年近くなってしまい、かなり不安になりました」
当時はちょうど、妻で女優のキム・ナムジュが長女ラヒちゃんを出産し休業しているときだったため、約2年間も夫婦とも収入ゼロの状態で暮らさなければならなかったという。
「子どもや妻と窓の外をぼーっと見ていることが多かったですが、当時は本当につらかったですね。当面のお金のこともそうですが、それよりも『やることがない』『自分の居場所がない』という気持ちは耐えがたかったです」
しかも、デビューしたばかりでもない、30代半ばを過ぎて経験したスランプは、キム・スンウをさらに危機感に追い込んだ。
「仕事がしたいときはいつでも仕事ができると思っていましたが、そうではないと切実に感じた瞬間、いろいろなことに気付いたような気がします」
そんな時間を過ごした後、妻キム・ナムジュと一緒に迎えた幾重もの喜びは、キム・スンウに仕事の大切さをあらためて教えてくれた。09年から2人が出演したドラマや映画が次々とヒットしたのだ。
キム・スンウは「わたしにとって、当時の経験はとてもいい薬になったようです。つらいとき、人とどう接し、ピンチをどう乗り越えるかが分かったので、そのおかげで今の自分がいると思います」と言って笑った。
昨年でデビュー20年を迎えたキム・スンウは現在、ドラマに映画にと活躍、多様な役をもらえるようになり、達成感を少なからず感じている。
「一つの顔(役)に固定されず、さまざまなチャンスをつかめるということも、わたしの年齢ではとても幸運だと思います。どんな結果が出ても、新しいことに挑戦し続けられるということにとても満足しています」
チャン・ソユン記者
edaily/朝鮮日報日本語版