その冬、風が吹く

発行日

Categories:

作品紹介韓国ドラマ『その冬、風が吹く』は、ノ・ヒギョン作家が執筆した作品だ。1998年にKBSで放映された『嘘』で視聴者から話題を集め、その後も数々の作品を手掛けてきたノ・ヒギョン作家であったが、あまり興行運が無く、良い結果を残す事が出来なかった。しかし、このドラマでは他の同時間帯に放映されるどのドラマよりも多くの人気が集まった。ノ・ヒギョン作家の作品には「人間」や「人間の内面」について詳しく表現されている。そしてこのドラマでは、スクリーン上でストーリーを最も上手く表現する監督として評価されているキム・ギュテ監督も加わったのだ。

このドラマは、日本でヒットしたドラマ『愛なんていらねえよ、夏』をリメイクした作品となる。そのため原作と韓国ドラマとの間に、どんな違いを生むのかと関心が集まった。
正統派のラブストーリーを基本に、愛を信じない2人の男女の物語が描かれる。2005年ドラマ『春の日』以来、8年ぶりのドラマ復帰となるチョ・インソンがオ・ス役を演じ、視覚障害で明るい人生を夢見ることができない寂しいヒロインのオ・ヨンをソン・ヘギョが演じる。また、ドラマ『花より男子』のキム・ボム、『応答せよ1997』に出演したガールズグループ「A Pink」のチョン・ウンジもキャスティングされた。

作品名『その冬、風が吹く』
出演チョ・インソン、ソン・ヘギョ、キム・ボム、チョン・ウンジ
放送期間 2013.2.13~2013.4.3
放送局SBS
監督キム・ギュテ 
脚本 ノ・ヒギョン

あらすじ「清潭洞(チョンダムドン)のポーカーギャンブラー」オ・スは、生まれてまもなく雪原の大きな樹の下に捨てられ、孤児院で育ち、底辺の人生を生きてきた。詐欺と賭けをしながら生き、特に希望が見えない人生を送る中、ポーカーで生計を立てている。恋人のチン・ソラは、オ・スがいつか自分を捨てるだろうと思っているのでオ・スを一切信用していない。

そんな彼が78億ウォン(約6億8千万円)の借金を返済しなければ、命を失う状況に置かれてしまうのだ。短い時間でそんな大金を集めることは不可能。
オ・スは、弟分のパク・ジンソンと同姓同名のオ・スと住んでいるが、同姓同名の彼はPLグループの会長の息子であり、オ・ヨンという妹がいるというのだ。オ・スは同姓同名であるのを利用し、財閥PLグループの一人息子で、交通事故で死んでしまったオ・スに代わってお金を騙し取ろうと企てるのだ。 
しかし、兄としてオ・ヨンに近づくにつれて、自身でも気づかないうちにオ・ヨンへの気持ちが大きくなっていくのだ。 オ・スは最後までオ・ヨンを騙し、78億ウォンを掴み取るための嘘を続けるのか・・・。

登場人物• オ・ス(チョ・インソン)

実力あるポーカー専門ギャンブラー。
金と欲望だけが行き交うポーカーの世界では、勝率を高める専門ギャンブラーとして華麗な生き方で暮らしている。
ポーカーをしない日は毎晩女と酒に溺れる。それが彼の人生の全てであった。
そんな彼について、人々は金だけしか見ない。
冷たい。彼の事を愛する多くの女性達でさえも
傷つくことしか知らない。
これこそ本当の心の無い「冷血さ」と言える。
しかし、彼もその言葉に軽く笑って「そうだ、オレはそんなヤツさ」と喜んで同意したように振舞うが、心の奥底では寂しさを感じている。

ある真冬に保育園近くの樹の下に捨てられ、意味も無く、
樹(ス)と名付けられた。
人々は彼にどうして生きるのかと聞いた。
そして彼は「お酒の必要な日はお酒の為に、女が必要な日は女の為に、他の日はただ単に」と答える。
他の人は家や車を持つ為にお金を儲けようと生きる。或いは、家族やありふれた愛の為に生きる。しかし、彼はお金を儲けても欲しいものは一切なく、家族はもうずいぶん前に意味のない存在であり、ヒジュ(初恋の相手)のいない愛なんて必要ないと考えている。

ところが、死の提案を受けた時、どうして彼は死ぬ事ができなかったのだろうか?
未練があるから?自分をこのようにした母への復讐か?
それとも死にたいという言葉は嘘であったのか、ポーカーゲームでの緊張感が楽しいのか。
このように捨てられ、傷つけたり傷つけられながらも、一度は幸せというものを味わってみたくなったのか?分からないことだ。

そんな彼が、初めてオ・ヨンと出会う。彼は彼女を見た瞬間分かった。
あの娘は自分と同じくらい寂しくて、自分と同じくらい疲れていて、捨てられた娘だと。

女の子か・・・、晩秋の紅葉が意味無く赤く染まった日だった。
くそっ、こんな娘を殺さなければならないなんて。
砂漠のように堅い彼の心の上に小さくて心細い風が吹いた。

• オ・ヨン役(ソン・ヘギョ)
大企業の相続人。
とても賢く、匂いと音を感知する能力が優れている。
だからか外見からは生活するのに不便さが感じられない。
24時間自分の管理を徹底的に行う。名前だけの「相続人」として残らない為にも、運動と経営の勉強を一日たりとも怠らない。
視覚障害者に英語を教えながら、それなりに自分の地位と収入を確保している。
1度も自分を尋ねて来ないで亡くなった母親。
病院に行くと言っておきながら、公園で時間を潰して、家に帰って来ては父親に医者と会ったと作り話を聞かせるワン秘書。
私という人間を知ろうともできないのに愛していると言うイ・ミョンホ。
そして金の為に仕方なく自分と遊んでくれるミラ。

こんな世の中で生きながら、人を信じることができない人生はなんて残酷なのだろうか?

その時、兄のスが現われた。彼女は兄のスを懐かしいと思うが、嫌いであった。この人さえいなければ、自分は母と一緒にここから離れることもできたはずだった。
もし、そうしていたら私の目が見えなくならなかったかも知れない。
「元気だった?」とのオ・スからの問いに「いや、元気に過ごすことが出来なかった。」
「私の周りの全ての人のように、あなたも私に必要なものがあるの?
それなら早く持って行って。しかし、簡単に持って行くことができないと思うけれど。
私はあなたが考えてるほど甘くはない。」と念を押したが、兄のオ・スは自分に対してとても温かく接してくる。

やっと分かった。彼女の放つ言葉は、全て強がりであったことを。兄がとても懐かしかったのだろう。
ところで、この男は変だ。今やっと気づいたが、どうして彼を根拠なく兄だと信じたのだろうか?

• パク・ジンソン役(キム・ボム)
口より先に手が出る血の気の多い男。いつも争い事に巻き込まれては、周りに面倒を引き起こすトラブルメーカーである。
普段は、笑うことも多く明るいが、義兄弟であるオ・スや愛する家族に触れるようなら、相手が誰であっても容赦しない火のような性格である。

オ・スにとって心配な弟分であるが、彼にとってオ・スは英雄と同時にロールモデルであった。
そしてとてもカッコイイと思っているオ・スのそばで、小農場の主人という彼の未来をまばゆいばかりに描いていた。オ・スがソラの陰謀で刑務所に入って以後、彼の全財産が水の泡になったが、ジンソンは彼のそばを離れなかった。
義理ある仲だ。どこへも行くもんか。ところが、兄貴が危険だ。

金の為にオ・ヨンの偽兄であるオ・スの役割をするならしっかりしろ。
しきりに心が搖れているのではないか?
どんな仕事にも一切動じなかった自分の英雄が今まさに揺れている。
正論でも突きつけて兄の搖れ動く心を抑えたいが、思い通りにならず息苦しく悩む。
自分の命が危ないというのにオ・スは気がおかしくなったようだ。
金を用意してこそ自分が生きるのではないのか・・・。

• ムン・ヒソン(チョン・ウンジ)
フローリスト受講生。
オ・スはもちろんムチョルにまで誰にでもタメ口を使う常識はずれだ。
オ・スの初恋相手ヒジュの妹で、やることなすことが天然であり、花の事しか知らないおしゃべりだ。優しい母と父の間で育った天使のような姉のヒジュと幸せに暮らしていた。
ところが突然ヒジュがバイク事故で死んだ。
全て、オ・スのせいだ。

オ・スは、おそらく自分が彼を嫌いだと思っているだろう。
常にブツブツ文句を言っていたから。しかし、彼女はオ・スが好きであった。
悪い奴。一体どのように過ごしているのか、自分の目ではっきりと見届けてやる!という復讐目的であったが、もう分からない。

オ・スがオ・ヨンの世話をしている姿を見てからというもの、全然眠れなかった。
くそっ、オ・スはオ・ヨンを愛しているみたいだ。ムカつくイライラする!
でも頑張って嫌いになろうとするのだが、オ・ヨンは本当に綺麗だ。
死んだ姉のように・・・。

主なロケ地• ジェイドガーデン

ジェイドガーデンは、江原道春川市に位置していて「森の中で出会う小さなヨーロッパ」というコンセプトのもとに2011年4月にオープンされた。イギリス式庭園、イタリアンガーデン、野生花の丘、スカイガーデンなど約24種類の庭園がある。
このドラマではオ・ヨンの家として様々なシーンで用いられている。借金の返却ためにオ・ヨンの偽者の兄となったオ・スとジンソンが家の前を通るシーンや、オ・ヨンがオ・スからの手紙を受け取る玄関先でのシーン、父が死んだ後ちょうど良いタイミングで戻ってきたオ・スを疑うオ・ヨンのシーン、オ・ヨンが建物の窓から覗いているシーンなど様々なシーンが撮影された。
ジェイドガーデンでは他に『ラブレイン』、『フルハウス2』、映画『きみはペット』も撮影されている。

• 韓宅(ハンテク)植物園
京畿道龍仁(ヨンイン)に位置するハンテク植物園は、韓国最大規模の総合植物園になり、敷地だけではなく保有する植物の種類でも韓国最大級の植物園と言える。約20万坪の敷地は、総36個のテーマ庭園で構成され、自生植物と外来植物を合わせて約9,700種類があり、約1,000万本以上の植物を保有している。そのため2001年に韓国環境府からは「希少植物・絶滅危機植物棲息地以外の保全機関」として指定された場所だ。
ハンテク植物園は京畿道の南部圏でデートコースや家族向けの行楽地としても有名である。
ドラマの中では、オ・ヨンの死んだ母の空間でもあり、オ・ヨンの思い出が残された秘密の部屋への入口として用いられた。

• 虹霓門(ホンイェムン/虹模様の 中央通路(虹の形をした門))
虹のような形をした門という意味の虹霓門は、1906年に着工し、1908年に花崗岩で築造して作られたアーチ型のトンネルで、南北をつなぐ仁川の名物トンネルだ。また、仁川広域市の有形文化財第49号でもある。当時の日本の土木工法技術を見ることができる。
ドラマの中では、オ・ヨンとオ・スがジョギングをするシーンや、幼い時にオ・スとオ・ヨンが別れるシーンなどで使われた場所である。

[product id=”6262″ sku=”jadegarden_namisum_full”]