安東河回村

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安東市にある河回村は、朝鮮時代の住宅様式と村の形態をそのまま残している所で現在も韓国伝統家屋に人が住んでいる。この昔のままの形で人々が生活している村自体が重要民俗資料第122号に指定されている。村を囲む洛東江がS字型に曲がって村を取り込んでいることから「河回」と名付けられた。
山は屏風のように村を取り囲んでいて、家屋は丘陵を中心に河に向かって配置していて住宅の向きが一つに定まっていないのが特徴。これは一般の韓国の住宅が南向きや東南向きになっていることとは対称的だ。山と川に囲まれた地理的な条件から敵の進入を受けたことがなく、上流層の瓦屋根の家や藁葺き屋根の民家まで、昔ながらの姿がそのまま残っている。朝鮮時代の大儒教学者である柳雲龍(リウ・ユンロン)、と壬辰倭亂(1592年の日本侵入)の際に大きな功績をたてた柳成龍兄弟によって広く知られるようになった。 安東河回村は今でも柳成龍の子孫である豊山、柳氏をはじめ、廣州安氏、金海許氏などの親族が集まって600年余り代々暮らしてきた韓国を代表する同姓村であり、観覧の際には主人の同意を求めなければならない。
村の東方には太白山から連なる海抜271mの花山があり、その花山の裾野が丘を形成し村の西方端まで続く。村の中心の一番高い位置には樹齢600年を超える三神堂と呼ばれる欅の木(御神木)がある。
1999年4月21日、73歳の誕生日を迎えたイギリスのエリザベス女王が韓国を訪問した際、東洋の趣が溢れる一番韓国らしい場所で一般の人たちと共に誕生日を迎えたいという希望で安東を訪ねて来てから世界に知られるきっかけになった。 安東河回村には民間伝承遊びである河回別神クッ(重要無形文化財第69号)があり、その時使われた河回の仮面は国宝第121号に指定されている。

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見所ポイント
芙蓉台
村と川を挟んだ向かい側にある奇岩絶壁は芙蓉台と呼ばれ海抜64mである。 “芙蓉”は蓮華を意味する。川と調和し絵のような風景。上から眺める村の景色は神秘的である。芙蓉台周辺には花川書院、玉淵精舎、謙岩精舎もある。

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  • 河東古家(重要民俗資料 第177号):この家屋は1836年に建てられ、朝鮮後期の両班家屋をよく表している。特にこの家屋の特徴は男女の居住の場が区別されていながらも、一つの棟として連結している点と、正面脇の棟は藁葺きであるが本棟は瓦葺である点である。

 

  • 南村宅(重要民俗資料 第90号):忠孝堂とともに南村地域を代表する家屋で1797年に建てられ、不幸にも1954年の火災によって別堂と位牌を祀る祠堂以外は焼失してしまった。祠堂の塀には瓦の欠片を利用して韓国の伝統模様である“寿”と“喜”を二つ重ねた“囍”の模様が施されている。

 

  • 主一斎(重要民俗資料 第91号):この家屋は1564年に建てられたもので、庭から母屋がよく見られないよう遮断するための塀を建てているのが特徴である。朝鮮時代の男女有別の儒教文化がよく現れている家屋である。

 

  • 北村家(重要文化財 第84号):この家屋は1862年に河回村の中央に建立された非常に雄壮とした両班の家屋である。正門脇の棟に付属した厠の門を家の内側と外側に設置し、家の男性のみならず下人も使用出来るようにした点が特徴である。

 

  • 三神堂 神木:三神堂は河回村の中央にそびえる樹齢600年の欅の木があり、河回村の御神木である。昔から三神は子供を授け子供の成長を助ける神として各家庭で御神体が祀られているが、河回村では欅の木を御神体として村全体で祀っている。

 

  • 養真堂(宝物 第306号):この家屋は朝鮮時代に建立された豊山柳氏の大宗家で謙庵柳雲龍が住んでいた。河回村で最も古い家屋である。高麗時代と朝鮮時代の建築様式を備えていて、朝鮮時代の生活様式をよく反映している。建築学者や文化学者の重要な研究対象として活用されている。

 

  • 忠孝堂(宝物 第414号):この家屋は文祿慶長の役の際に領議政(現在の国務総理に該当)を歴任した柳成龍の宗宅である。男性の生活空間である居間の上方には“忠”と“孝”を意味する懸板が掛けられている。母屋は“口”字型で外部からは簡単には近寄れないほど閉鎖的になっている。

 

  • 鵲泉古宅(重要民俗資料 第87号):建築手法や様式から見て朝鮮時代の建物と推定される。奥の間の正面に塀を作り、男性の居間へ来た来客と奥の間の婦女子が互いに互いに会うことのないようにしている点が特徴。

 

  • 賓淵精舎(重要民俗資料 第86号):1583年に建てられたものでソンビ(学者)の書斎として活用された建物である。芙蓉台の下を流れる清らかで深い“沼”から精舎の名前をとった。

 

  • 遠志精舎(重要民俗資料 第85号):柳成龍が父親の死去により都落ちし隠居する際に建てたもので、隠居後にもここで心と体を鍛錬し休養した。

 

  • 万松亭 松林(天然記念物 第473号):この松林は風水地理学的に村の西側の地気が弱く、それを補完するために植えた裨補林(気を補う木々)である。

 

  • 永慕閣:西厓柳成龍の遺物を保管、展示している。その中の懲毖録(ちょうひろく)は文禄・慶長の役の得失を筆写本に残す重要な手記で国宝第132号に指定されている。

 

  • 河回別神グッ仮面舞伝授館:村の入口付近にある河回別神グッ仮面伝授館では重要無形文化財第69号の河回別神グッタルノリ(河回タムチュル・仮面劇)の常設公演が3~12月まで(毎週 水・土・日曜日 午後2~3時)行われている。無料で見学することが出来る。
    ※伝授館で行われる公演日時は変更する場合もあるので事前にインターネット、観光案内所などでチェックする必要がある。

 

  • 英国女王訪問記念館:村入口にある案内所横には英国女王訪問記念館がある。イギリスのエリザベス女王が訪問した際の様子が写真などで展示されている。その時に出された豪華な料理のサンプルも展示されている。

 

  • 安東国際仮面舞フェスティバル:韓国最優秀文化観光祝祭である安東国際仮面舞フェスティバルは、韓国だけではなく海外の代表的な団体も参加し、世界各国の伝統的な仮面を一ヶ所で楽しむこ とが出来る。一緒に歌ったり、踊ったり参加体験しながら感じることの出来る韓国の代表的な文化観光祝祭。また韓国の伝統工芸作品の展示や、体験コーナー、 さまざまなイベントも同時に行われる。毎年9月下旬~10月上旬に行われる。

 

  • 河回ソニュウチュルブルノリ(韓国伝統花火):昔、河回村のソンビ(学者)達は陰暦7月初めや中旬頃に河回村の向こう岸にある芙蓉台一帯の美しい自然を背景にして詩会を開くと共に舟遊び、綱火遊び、卵の殻の灯篭流しを行った。それらを総して“ソニュウチュルブルノリ”と呼ぶ。万 松亭と芙蓉台の間に火綱を結び、火をつけると結び目ごとに火花が散り落ちる。火綱や落火などの火と川との調和がすばらしい韓国唯一の伝統花火である。この 花火は1930年代の初め頃まで伝承されていましたが、途中で中断された。しかし今現在は復元され毎年“安東国際仮面舞フェスティバル”期間中に行われ る。

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その他のご案内
村の中にある家屋の中には民宿施設として宿泊出来るところがある。韓国伝統家屋に宿泊して、韓国の文化を直接体験することが出来る。また韓国伝統家屋の中で、韓国伝統料理や安東塩サバなどの郷土料理が食べれる施設などもある。ただしお店は遅くまでやっていない。

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 安東河回村(韓国語 안동하회마을)
 住所 (日本語)慶尚北道 安東市 河回里 844-1
 (韓国語)경상북도 안동시 하회리 844-1
 電話番号 054-852-3588
 運営時間 年中無休
 3-10月 9:00~19:00 11月-2月 9:00~18:00
 入場料 安東河回村
 大人:2,000ウォン 青少年:1,000ウォン 子供:700ウォン
 日本語 可
 ホームページ 安東市観光協会 :  http://tourandong.com/japanese/coding/main.asp(日本語)
 安東河回村 : http://www.hahoe.or.kr/(韓国語、日本語、英語)