汝矣島漢江公園

発行日

ソウルの中央を東西に横切る漢江は、韓国を代表する川の一つとして知られる。 川沿いには散策道、サイクリングロードが続き、各地域には趣向を凝らした公園、運動場、プール、展望台など、さまざまな設備を整え、市民の憩いの場となっている。
漢江の中州である汝矣島は、国会議事堂、証券会社、大手企業の本社が立ち並び、韓国の政治、経済、マスメディアの中心地として、「ソウルのマンハッタン」とも呼ばれている。
この汝矣島の漢江沿いに広がっているのが汝矣島漢江公園である。ソウル市は、2007年から2030年までにソウルのブランド価値を高め、漢江を中心としたウォーターフロントタウンを造成するという「漢江ルネサンス」の長期プロジェクトを推進している。都市空間の再構築、景観の改善、アクセスの改善、テーマ別の漢江公園造成など、さまざまな課題を各段階に分けて、事業の取り組みが行なわれている。最も重要な課題として、都市の近代化によって失われた漢江本来の姿を取り戻し、環境にやさしい公園の造成に努めている。
汝矣島漢江公園は、漢江ルネサンスプロジェクトの第一段階事業の一つとして造成され、水の光広場、噴水、ピアノの水路などのさまざまな施設を整え、汝矣島の観光スポットの一つともなっている。ソウル市民の憩いの場としてだけではなく、外国人観光客も多く訪れるようになり、標識には英語をはじめ日本語や中国語での案内もみられる。
また汝矣島では、季節ごとに世界花火大会、マラソン大会、各種公演など、さまざまなイベントが行われ、文化空間としての役割も果たしている。

漢江は、韓国ドラマや映画の撮影が行われるロケ地としても定番となっているが、汝矣島漢江公園内でも度々撮影が行われている。

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♦汝矣島の歴史

汝矣島は、漢江の土砂が堆積した砂地で、高麗時代には馬の飼育場であり、朝鮮時代には放牧地として利用されていた。その後は、軍用飛行場が建設されたが、度重なる水害によって深刻な被害を受けてきた。1968年に水害を防止し、現代式の住宅を建てるために、堤防が建設された。1968年にはソウル橋、1970年にはソウル大橋(現在の麻浦大橋)が建設され、都心から汝矣島と、対岸の永登浦地域が連結された。1972年には埋め立て工事も始まる。汝矣橋や元暁大橋が建設されたことも、この地域の交通をより円滑にさせた。
その後、官公庁が本格的な開発の推進を行い、政治、経済、マスメディアの新たな中心地として発展した。面積は8.48平方kmに及ぶ。

汝矣島は“君の島”という意味がある。毎年の水害によって、平地のほとんどが水に浸かったが、現在の国会議事堂があるヤンマル山(養馬山/羊馬山)だけは水害の被害に合わなかった。その時周辺の人々は、この山を“私の島”“君の島”と呼ぶようになり、これを漢字で表して現在の汝矣島となったといわれている。

汝矣島漢江公園の見所ポイント 水の光広場(カスケード)

公園の堤防部分から漢江に向かって、少しづつ流れていく小さな滝が特徴的な“水の光広場”は、水深が浅く、子供たちが走り回ったり水遊びを楽しめるようになっている。水を引いた際には観覧席と舞台が現れ、公演空間としての機能も果たしている。子供たちには遊びの空間、大人たちには余暇空間が提供され、幅広い世代の人々が楽しめるようになっている。
夜間には照明設備によって昼間とは違った美しい景観がつくり出されると共に、漢江周辺の夜景も同時に楽しめる。恋人たちのデートスポットともなっている。
決まった期間と時間には、ウォータージェット噴水がまるで踊っているかのように動き、訪れる市民の目と耳を楽しませている。
広場の周辺は、カフェ、コンビニエンスストア、公衆トイレなどの施設も整っているため、特に夏場には水遊びを楽しむ家族連れで賑わう。また、漢江沿いの散策やサイクリング途中の休憩所としても利用されている。

この“水の光広場”周辺は、韓国ドラマや映画の撮影も行われている。特に人気ドラマ『アイリス』『シティーハンター』のロケ地として、多くの関心を集めている。

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♣光のカフェ

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池の上に建てられた神秘的な六角形の東屋。東屋の周りに垂れ下がる柳が、より一層風流な景色をつくりだしている。

自転車レンタル所

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子供用、大人用、二人乗り自転車などの貸し出しを行なっている。

ソウル色(color)公園

麻浦大橋の橋の下の空間を利用し、色をテーマに造られた公園。ソウル市の色彩環境や景観を改善し、固有の都市イメージ形成のために開発した「ソウル色」が、公共空間に適用された。赤色、青色、灰色など、ソウルの代表色10色を使ったバーコードグラフィック作品や芸術センス溢れるベンチが設置されている。見る角度によって異なる色に感じたり、漢江の波を形象化した造形物などがあり、訪れる人々へ芸術空間の中での休息と日常の中のデザイン体験の機会を提供している。
橋の下の太陽光が遮られた空間に、色とりどりのアート作品が設置されたことによって、明るい印象を与えている。

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ソウルの代表色

ソウルの代表的なイメージから選ばれた代表の10色

銀杏の黄色(Seoul Yellow):秋に道を染める銀杏の葉の黄金に輝く色
瓦の濃い灰色(Seoul Darkgray):粘土を焼き上げて造る、黒い輝きが印象的な瓦の色
丹青の赤色(Seoul Red):高貴さを象徴する景福宮勤政殿の丹青の赤色
漢江の白銀色(Seoul White):ソウルの中心を横切る漢江の銀色に輝く波の色
ソウルの空色(Seoul Blue):ソウルの秋に見られる果てしなく澄んだ空の色
古宮の茶色(Seoul Brawn):昌慶宮の柱の気品と信頼に似た色
石垣の灰色(Seoul Lightgray):宮殿の石垣に見られる花崗岩の美麗な色
南山の緑色(Seoul Green):四季を通して鮮やかな緑を保つ南山の松の木の色
花塀の黄土色(Seoul Orange):景福宮慈慶殿の花塀の穏やかさと温かな色
麻布の淡い色(Seoul Beige):染色されていない天然麻布の素朴でやさしい色

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ピアノの水路

ピアノ水の流れ
地下鉄5号線の汝矣ナル(ヨイナル)駅から漢江公園に降りていくと、“ピアノの水路”がある。この水路には、 汝矣ナル駅の地下鉄工事を行なった際に出た、地下水が流れている。幅3m、長さ415mの水路で、“水の光広場”に水を供給している。
ソウル市内を流れる漢江41.5kmの100分の1にあたる縮小版の漢江として、水路の横にある散策道には、漢江の各名所を象徴する文様が刻まれている。まるで漢江全体を一目で見ているような体験ができる。
水路の水深は浅く、所々が段になっていたり、ピアノの鍵盤のようになっている。特に夏場は多くの子供たちが水遊びに訪れる。

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麻浦大橋 風の道

麻浦大橋は、ソウルの麻浦区と永登浦区汝矣島を繋ぐ、長さ1,400m、幅25m(6車線)の橋。1970年5月に竣工し、竣工当時は“ソウル大橋”と呼ばれていたが、1984年に“麻浦大橋”と変更された。ソウルの中でも美しい夜景が望めることで有名である。
“風の道”は、麻浦大橋の南端の汝矣島公園入口に位置する美術造形物。汝矣島のの象徴的なランドマークでもあり、漢江とソウルの街並みを眺望することができる展望台ともなっている。歩行者や車を運転している人たちが、何気なく通り過ぎている交通島に、「ソウル市都市ギャラリープロジェクト」の一環として、印象的な造形物を設置することによって、多くの人々が集まることを目指して造成された。
滑らかに曲がりくねった道の形態は、漢江の波と風が素材となっている。ぐるぐる回りながら続く道に沿って頂上へ登ると、爽やかな風を感じることができる。近現代の荒波の中で、最先端都市として成長してきた汝矣島の躍動性も表現されている。

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汝矣島漢江公園の四季
汝矣島漢江公園(ヨイドハンガンコンウォン)(韓国語 여의도한강공원)
住所 (日本語)ソウル市 永登浦区 汝矣島洞8
 (韓国語)서울시 영등포구 여의도동8
電話番号 02-3780-0561
行き方 地下鉄5号線 汝矣ナル(ヨイナル)駅
 地下鉄9号線 国会議事堂(クッケウィサダン) 駅
ホームページ http://hangang.seoul.go.kr/park_yoido/(韓国語)