宗廟(チョンミョ)

発行日

宋廟は、儒学を統治思想として建国した朝鮮時代の歴代王と王妃及び、死後称号を贈られた王と王妃神主を祀って祭祀を行う祠堂で、太祖は漢陽に遷都した年の1394年(太祖3年)12月に着工し、翌年9月に完工した。その後、祀る位牌が増えるにつれ、世宗3年(1421)には、正殿の西側に別廟の永寧殿を建立し、そこにも位牌を奉安しはじめた。
宗廟は一番中心となる正殿をはじめ永寧殿など色々な付属建物があり、正殿は1592年壬辰倭亂の際に焼失したが、1608年に再建し、何回の補修を経て今の19間になった。
同時代の木造建築物の中、延べ坪規模が世界第一だが、儒教の質素な気風が込められ、東洋古代文化の特徴を研究するにあたって貴重な資料になっていることが認められ1995年ユネスコの世界文化遺産に指定された。境内には正殿、永寧殿、典祀庁、御粛室、香大庁、功臣堂、楽工庁などの建物がある。正殿と永寧殿はそれぞれ塀に囲まれており、廟庭に出入りする門には位牌の通路である南の神門、祭祀時に祭官が通る東門、そして楽工と班列員の通路である西門がある。囲いの中央部には広い廟庭月大があり、その真ん中には神路が南北に長く伸びていて、その北の端に祭壇が造られ、その上に建物が建てられている。正殿と永寧殿のある廟庭には樹木や草花を一切植えていない反面、塀の周辺には厳選された特別な樹木を植えている。四方を鬱蒼とした幽玄な守に作り上げた廟庭だけが、空に続く空間とし、点からの精気を授かり、そこに霊的な力が満ち宿るようにされた。
また、毎年5月に行われる宗廟祭礼と、その時演奏される宗廟祭礼楽(器楽、歌、踊りで構成)も2001年ユネスコの「世界無形文化遺産 (人類の口承及び無形遺産の傑作)」に定められた。

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正門
正門は南側に位置し四廟(祠廟)の表門らしく三面三間の平三門である。左右は宗廟外周を囲む塀と連結している。正門は本来前面中央にでは階段を上り下り出来るようになっていたが、日帝時代に埋め立てられて階段の一番上の基壇のみが残っている。この正門は外大門または外三門と呼ばれる。

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正殿(国宝)
国宝第227号に指定されている正殿は、宋廟の中心をなす建物。善政のあった19人の王とその王妃の位牌、計49位を祭る。祭礼儀式以外は扉は閉められている。建築的に明確に分節された塀、月台、基壇、柱、屋根など建物を構成する部分で祭礼用建築物として兼ね備えるべき機能と空間が完璧に取り揃えられ、その象徴性を高めている。横に続く廟庭月台は安定を、建物の前面には無限に反復されるかのように立ち並ぶ柱は絶えることの無い王位の永続を、水平の空の果てまで広がるような屋根は無限を象徴している。建築物の造営技法は極めて単調で、必要不可欠な装飾だけが存在し、色彩や紋様使用を可能な限り差し控えている。板門の表面をよく見ると隙間があるが、これは魂が自由に出入りするためであるとともに、内部の湿度を調整するためである。単一の木造建築物としては韓国でも最長の101mで、東西109m、南北69mにもなる廟庭が広がり、その北側に祭壇が設置されている。他の建築物との違いは建物の内部に神位の数が増えることによって、数回にかけて建物を横に長くしていった点である。

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三道-神路、御路、世子路
外大門をくぐると前方に広がる道で、中央・左右で3つの特徴ある敷石が敷かれている。 真ん中の若干高くなっている道は「神の通り道」で「神道」、東側は「王の通り道」で「御路」、西側は「皇太子の通る道」で「世子路」と分かれている。この道は正殿に続いていて、祭祀を行う際に使用される。

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永寧殿
永寧殿は、神室の一つ一つは正殿と大きな違いはないが正殿よりも規模が小さくい。1421年、第2代・定宗の位牌を祭る際に建てられた別廟。太祖の4代祖とその王妃の位牌など、没後に位を贈られたり、正殿から移安されたりした王と王妃の位牌、計34位が安置されている。

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望廟楼と香大庁
望廟楼 : 建物は一部が高床式になっていて、宗廟に来た王が休む場所であった。屋根の造りが美しいことでも有名。
香大庁 : 香大庁は宗廟で使う香祝幣と祭事記念品を保管して、祭享に出る献官が儀式の前に待機していた所でもある。南北に長い庭の東西に分けて建物が配置されている。

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宗廟 教育広報官
歴代王と王妃の位牌を宗廟に祀る儀式である祔廟(ブミョ)と人類の口承及び無形遺産傑作の宗廟祭礼と祭礼楽について正しく分かりやすく観覧出来るように香大庁に展示している。

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  • 第1展示室 : 第一展示室は祔廟(ブミョ:宮殿に祀られていた神主を宗廟に祀る儀式)および宗廟儀軌(ウィクェ:宗廟に関する建築、祭器、祭礼服、楽器などが絵と共に詳しく記録されている本)、宗廟建築物について分かりやすく観覧出来るようになっており、宗廟に関する映像が上映されている。
  • 第2展示室 : 第2展示室は祭床(お供え物を供えるテーブル)と(お神酒を供えるテーブル)を再現したもので宗廟祭礼および宮殿で使った祭器の美しさが干渉できる展示空間として、映像情報メディアを通じで宗廟陳設図に関する資料が検索できる。
  • 功臣堂 : 朝鮮王朝歴代功臣らの位牌を奉ったところ。廟庭の南側右下に位置している。創建時は3間に過ぎなかったが、後に9間に増やして今現在は16間の長い建物になった。

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宗廟大祭(チョンミョデジェ)
毎年5月に行われる「宗廟大祭」は朝鮮時代から続く祭祀。2001年ユネスコの重要文化財、第56号(宗廟祭礼)及び第一号(宗廟祭礼楽)「世界無形文化遺産 (人類の口承及び無形遺産の傑作)」に定められた。
韓国内でも最大の伝統行事の一つ。大祭は午前9時半から午後3時まで開催され、約1,200名にもおよぶ御駕行列の再現は景福宮を出発して世宗路と鐘路を経て宗廟へ行く華麗な行列である。
朝鮮王朝の王と王妃を祭って祭祀を行う儀式で、朝鮮時代には1年に5回行われていた。

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御駕行列(車駕出宮)
王が宗廟祭享を行うために宮殿から宗廟へお出ましになる過程である。王に仕える臣下は宮殿の前に二列で立ち、護衛官員を始めとした出宮行列が整列すると、尚瑞院の官員が玉璽を頂き、王の元へと向かう。王が御駕に乗り、宮殿の外の御輦(王が乗る輿)に向かうと、日傘と扇をもった侍衛が後ろに従う。王が御輦に乗ると、お付きの臣下も一斉に馬に乗り共に出発する。さらにその後には護衛部隊である玄武隊が従う。

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宗廟祭礼(重要無形文化財第56号)
宗廟で開催される行事で、有形、無形の世界遺産が同時に鑑賞できる世界的に類のない文化遺産である。1969年から宗廟祭礼保存会によって行事が復元され、現在では毎年5月の第一日曜日に行われている。宗廟大祭りには大きく、祭享を行うために王が宗廟に到着し、齋戒(心身を清めて、不浄な物事を遠ざけること)する御駕行列と、祭礼奉行がある。

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宗廟祭礼楽(重要無形文化財第1号)
宗廟祭礼楽は、世宗大王の時代に作られた保太平と定大業を世祖が整理したもので、音律の荘厳さが引き立つ音楽である。保太平は、朝鮮王朝時代の王の学問と徳望を称えたもので、定大業は外的に立ち向かい軍事的な功績を挙げた先王を称える内容。 宗廟祭礼楽は、音楽と共に先代の功徳を崇め称える歌と64名が立って踊る八佾舞(舞踊)が加わることで、一層雄大かつ荘厳なものとなる。

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宗廟(韓国語 종묘)
住所 (日本語)ソウル市 鐘路区 鐘路115
 (韓国語)서울시 종로구 종로 155
電話番号 02-765-0195
観覧案内 日本語:09:40、10:40、12:40、13:40、14:40、15:40
 1回の最大観覧人数は200人(インターネットにて事前予約可能)
 ※外国人案内時間内は原則的に韓国人の入場不可、ただし外国人に同伴している韓国人は可能
休館 毎週火曜日
入場料 大人:1,000ウォン 青少年:500ウォン
日本語 日本語ガイド案内
ホームページ http://jm.cha.go.kr/ (韓国語・英語)