国立民俗博物館

発行日

景福宮内に位置している国立民俗博物館は総面積約1万2850坪で、地下1階、地上3階で構成され1975年4月11日に開館した。地下1階は遺物を保管する収蔵庫、1階は中央ホールと3つの常設展示館及び講堂、2階は行政室、3階は民俗資料が閲覧出来る図書館機能の図書閲覧室があり、野外展示場にも興味深いものがいっぱい展示されている。韓国の祝日には韓国伝統芸能などの公園、韓国文化体験などのイベントも行われている。 過去の祖先と今現在私たちの日常生活から一生にいたるまでの生活を調査、研究、収集してそれを保存、展示する役割を果たしている国立民俗博物館は約2万点余りの遺物を所蔵している。 博物館の建物は慶州(キョンジュ)の仏国寺の青雲橋と白雲橋、法住寺の捌相殿、華厳寺の覚皇殿など、韓国の伝統建築様式を現代建築に取り入れる形で新しく再現された。

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国立民俗博物館の展示案内
常設展示

韓民族生活史館
韓国人たちの歴史および文化について、先史時代から現代に至るまでの代表的な生活史関連の資料を中心に展示している。導入部においては、韓国人の生活史を通史的に紹介して、資料に現れるさまざまな韓国人の姿を展示している。

「自然のなかから人間のなかへ」
旧石器時代から青銅器時代までの人々の生活様式を、その変化に焦点を当てながら展示している。

「領域の拡大」
三国時代から南北国時代まで、韓国の人たちの活動領域が拡大・統合されていくプロセスの中に現れる生活様式を展示している。

「文化の享受」
高麗時代から朝鮮時代までの人々の生活様式を、高麗・朝鮮時代における儒教的支配体制のもとで花咲いた文化という視点から展示している。

「大衆の登場と成長」
開港以後から近・現代に至るまで、韓国人の生活様式を日常用品および空間にフォーカスを合わせて展示している。

韓国人の日常
この展示館では一年を周期とする農耕生活と四季の変化に合わせて暮らしてきた朝鮮時代(1392~1910)の韓国人の日常生活を見ることが出来る。 暮らしやすい場所に出来た韓国の村は、人々が集まって暮らしてきた最小単位の生活空間。この場所で暮らしてきた村人の生活の様子を、春夏秋冬の順で見ることが出来る。そして村と村、人と人、物と物を繋げる文化の交易の場である市場を通じて韓国人の日常の全般が分かるようになっている。四季の循環という自然現象とこの自然に順応し作り出された農耕歳時をもとに形成された生業、衣食住、工芸など様々な生活の様子が展示されている。

韓国人の一生
この展示館では、朝鮮時代における両班士大夫の階層の人々が、生まれてから亡くなるまでの間に経験するさまざまな儀礼的な出来事の中で最も理想とされていた形を中心に分かりやすく展示している。 朝鮮時代を生きた人たちの生活は、その節々において当時の社会的秩序を規制した基本理念としての儒教と深くかかわっていた。儒教の社会においては、特に男性中心の家系の継承を最も重視していたため、子供が生まれる前から男の子の誕生を切に祈っていた、子供が生まれてからは100日目や1年目のお祝いをすることで、その子供が無事に成長することへの祈願と感謝の気持ちを表現した。男性は「冠礼」、女性は「笄礼」という成人式を行うことによって、一人前の成人として認められ、婚礼によって家族を構成した。さらに男性は「科挙」という試験に受かって官職に就き、女性は家の中の生活をするということが最も大事とされていた。年を取り、61歳になると「回甲宴」という儀礼を行い、長寿を祈った。人が亡くなると家族は「三年喪」という葬送儀礼(喪礼)によって、その悲しみを乗り越え、亡くなった人の霊を家の祀堂に先祖として祀り、祭祀をおこなった。 このような韓国人の人生儀礼の紹介展示、またここでは伝統的な楽器や遊び道具などを使って、当時の風流を直接体験することも出来る。さらに、漢方の薬屋や民俗信仰など、当時の暮らしの中で経験するいろいろな困難を乗り越えるための知恵も紹介されている。

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寄贈室

国立民俗博物館は、伝統社会から現代社会にいたるまで、暮らしの足跡を刻んできた様々な資料の寄贈を受けている。寄贈物には、家に代々伝わる資料から、個人が一生をかけて収集したコレクション資料までいろいろなものがある。これらは今の社会に残された貴重な資料として、特定個人の物にするのではなく、社会の多くの人たちが共有し、研究資料としても活用出来る。

企画展示
期間ごとにさまざまなテーマに基づいて展示が行われる。

野外展示
国立民俗博物館では、屋外展示として韓国の伝統的な村の平穏無事と豊作を祈願する村落共同体の信仰の対象である石塔をはじめ、韓国の生活文化の風景を形作ってきた臼や、畑などに設けられた番小屋、収穫した穀物を貯蔵するわら小屋、冬場キムチを貯蔵するために造った小屋などを再現し展示している。 さらに朝鮮時代、清渓川の水位を計測するために使われた「水標」も復元し、直接目で観察することができる。また、12方位を象徴するもので、動物の顔と人間の体をしている十二支神像の置かれた「十二支の場」、守護神的な役割を果たした済州島の「ドルハルバン」など地域によって異なる韓国文化の多様性を地域民俗の象徴によって紹介している。

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子ども民俗博物館
子供たちや保護者、教師の方々に学校教育と密接に連携したさまざまな教育プログラムを提供するために2003年2月に開館した。 子供たちが直接手で触って体験できる展示の内容構成を中心にしていることが特徴といえる。展示テーマは、衣生活、住生活、食生活などの5つのカテゴリーに分類されていて、これらのすべてにおける展示品は、子供たちが手で触ったり、組み立てたりすることの出来る体験学習用のものとなっている。また屋外の遊び広場では、コマ回しや、投壷、輪回しなどの韓国の伝統的な遊びが楽しめるようになっている。

民俗アーカイブ
韓国の生活文化および民俗文化に関するアーカイブ資料を調査・収集・整理およびデーターベース化し、利用客に幅広い情報を提供するため、2007年5月にオープンした。国立民俗博物館における常設展示及び、特別展示や、民俗学に関する専門書、さまざまなマルチメディア資料など豊富な情報をデジタル化し提供している。民族学関連の専門書が約65,000冊、写真資料が約90,000点、フィルム資料が約70,000点など、全部でおよそ23万点の資料が所蔵されている。

韓国伝統文化体験プログラム
韓国に滞在している外国人、韓国語語学堂の外国人学生、青少年などさまざまな外国人を対象にする韓国伝統文化体験プログラム。

・伝統工芸品
・伝統演戯を習う

その他の施設案内
韓国の伝統的な餅や軽食が食べられるカフェ、民俗学の専門書や韓国の伝統文化に関する図書、各種韓国工芸品などの商品を扱うミュージアムショップが整っている。

国立民俗博物館(韓国語 국립민속박물관)
住所 (日本語)ソウル市 鐘路区 三清洞通り35 
 (韓国語)서울시 종로구 삼청동길 35
電話番号 02-3704-3114
運営時間 3~4月、9~10月:09:00~18:00
 11~2月:09:00~17:00
 5~8月:平日 09:00~18:00/土、日曜日・祝日:09:00~19:00
 ※観覧券発行は閉館1時間前まで可能
休館 毎週火曜日
入場料 無料(景福宮は有料)
日本語 可
 日本語ガイドレシーバー貸出あり 料金1,000ウォン
ホームページ http://www.nfm.go.kr:8080/japanese/main.jsp(日本語)