ソウルの中心地から車で40分ほどの所に位置する京畿道高陽市一山は、高層アパートが立ち並ぶベットタウンとして知られている。 この一山を代表する一山湖水公園は、一山新都市宅地開発事業の一環で造成された近隣公園である。1996年5月4日に開園し、面積が30万坪にも及ぶ東洋でも最大級の人工湖水公園である。
公園は湖を中心として造成され、湖に浮かぶ月見島を境に、北側は自然の湖をそのままの姿で維持し、南側は人工湖として二分されている。9万坪以上に及ぶ淡水湖の水をきれいに管理するため、蚕室水中洑上流の上水源を薬品沈殿させた透きとおった水だけを放流している。 自然の生態系を蘇らせる取り組みが行なわれ、湖には水生植物や水生動物などが生息し、公園内には100種類以上の野生花と20万本以上の木々が多い茂る森がある。都会の中心から近いにも関わらず、豊かな自然に触れ合うことができる。
湖の周りには4.7kmのサイクリングロードや、5.8kmの散策路が整備されていたり、芝生広場、運動場、野外舞台、植物園、子供用アスレチック、自然学習場、歌う噴水台などの多様な施設を整え、湖を中心としたレクリエーション空間となっている。一山周辺市民だけではなく、ソウルからも多くの人々が訪れ、“首都圏最大の休息空間”ともいわれている。車で訪れる人々のために1,050台の駐車が可能な駐車場を整えたり、貸し出し自転車の設備もあり、遠方から訪れた人々も公園内の施設を十分に楽しむことができる。
湖の中央にある噴水は、夏の期間には10m以上の高さに水が噴き上がる。また、音楽に合わせて動く“歌う噴水台”は一山の観光名所となっている。週末にはさまざまな公演やイベントも行われ、文化公園としての機能も果たしている。
園内にある花展示館は、毎年開催される高陽花博覧会と、3年周期で開催される高陽世界花博覧会の開場になっており、毎年20万人以上の人々が訪れている。博覧会では、ローズガーデン、盆栽苑、ハーブガーデン、西洋庭園、東洋庭園など、屋内と屋外を合わせて、さまざまなテーマで展示が行なわれている。
公園内の美しい景色は、韓国ドラマや映画の撮影も度々行われている。ドラマのロケ地を見学するために訪れる人々も多い。また、ウェディング写真の野外撮影地としても人気が高い。
公園の周辺には、大型ショッピングモールや、放送局、展示場なども点在し、新都市ならではの多様な施設と見所が揃っている。
♦一山湖水公園の一番の見所となる湖と、湖畔の散策道
♦湖水公園案内図と公園内の各地で見られる数々のアート作品
一山新都市は、ソウルの中心部から北西に18.23km離れた所に位置している。1980年から韓国の人口が増え続けてきたが、住宅の数が非常に不足していた。経済発展と共に、特に首都ソウルの人口は飽和状態に達した。そこで、ソウル内でも住宅の建設が盛んに行なわれることになったが、人口増加に追いつかず、不動産価格が高騰することとなった。その後、大規模な宅地開発が行なわれ、1989年に一山新都市計画が発表された。現在は高層アパートが立ち並ぶベットタウンとなっている。この地域一体は“一山新都市”や“一山ニュータウン”などと呼ばれている。
一山湖水公園の見所
愛水橋
一山自由路獐項ICへ進入口となる湖水橋の下段部に位置していて、橋の形がY字型になっている美しい木の橋である。橋の下の湖には魚たちが泳ぎ、足を止めて魚を見物したり、湖にせり出したウッドデッキに座りながら過ごす人々の姿がある。 そしてこの美しい愛水橋は、韓国ドラマの撮影が行われるロケ地としても有名である。
伝統庭園
韓国固有の伝統様式で造成された伝統庭園には、藁葺き屋根の東屋と瓦屋根の東屋がある。小川や池も整えられ、池の中にある小さな島には、一本の松が美しく配置されている。庭園内には、梅、竹、松、ミズキ、杏などのさまざまな木々が植えられ、季節ごとに違った美しい景観をみせている。人工物と自然そのものの美しさを調和させた庭園である。
歌う噴水台
2004年に設置された歌う噴水台は、音の高低によって入力された通りに水が噴き上がる噴水ではなく、音楽に合わせて専門家が手動で噴水のパターンと照明をプランニングし、照明や各種効果を組み合わせて演出する総合芸術品である。音楽に対する芸術性が要求され、多くの時間と努力によって創り出されている。全部で、1,655個あるノズルの水しぶきが織り成す35種類の基本パターンと、約500種類の応用パターンで演出することができる。約1,450トンの水を引き上げ、1,655個のノズルから、さまざまな形で水を噴き上げながら演出される。この動きは、約2~3秒の反応時間でコントロールすることができる、最先端の噴水技術である。高陽市や一山湖水公園の名所の一つとしても数えられ、多くの人々が見物に訪れている。
噴水の動きに最も合う音楽が選曲されているが、インターネットホームページを通して、市民からのリクエスト曲も受付ている。
自然学習場
湖水公園の湖は人工湖であるが、湖の一角に造成された自然学習場では、田舎の貯水池のように水生植物、鴨、亀、シラサギなどを観察することができる。小さな子供たちや学生たちが、自然に触れ合うことができる学習の場となっている。
21,500㎡の規模の自然学習場には、108種の水中植物、湿生植物、水辺の植物と、120種の野生草が生息している。湖水公園の湖は、人工湖と自然の姿をそのまま維持している自然湖に区分され、構造と水の管理方法が異なる。自然湖では、自然生態系を再現するために、田舎の貯水池と同じような環境をつくり、魚類、昆虫類、水生植物などの生態環境の再現と管理に努めている。水中植物や水中生物の成長過程の研究や学習などにも役立てられている。
花展示館
“2000高陽世界花博覧会”の開催を記念して、定期的な花博覧会や各種の展示会を開催するために設立された。約21,500㎡に及ぶ施設には、屋内展示場と屋外展示場がある。博覧会では、世界各国の団体による展示も行なわれている。
サボテン展示館
世界的にも珍しく貴重なサボテンを鑑賞することができる温室施設。さまざまな種類のサボテンが管理されている。
バラ園
高陽市を象徴する花のバラを主題として造成されたバラ園。9,550㎡の敷地には、100品種のバラが23.100本栽培されている。5~6月に見頃を迎え、色とりどりのバラが咲き乱れる満開時には、多くの人々が訪れる。
彫刻公園
世界各国の彫刻家たちが手掛けた作品が、屋外の広場に設置されている。公園の中の自然と人々が作り出した芸術的感覚を同時に体感することができる。多くの人々が芸術を身近に感じる機会を与えている。各作品の前には、彫刻家の名前やタイトルなどが書かれた石碑もある。
人工滝
人工滝は、湖水公園の最も東に位置している。周辺は“滝広場”とも呼ばれている。崖から流れているような滝と、大きな石が水面の所々に配置され、美しい景観を作り出している。夜には滝がライトアップされ、昼間とは違う景色が広がる。
メタセコイアの道
メタセコイアの並木道は、公園の境界線付近に位置する。メタセコイアは、スギ科の落葉高木で、幹がまっすぐに伸びて30m以上にもなる。イチョウと共に、太古の植物として、“生きた化石”とも呼ばれている。早く育ち、生育環境に大きい影響を受けることがないため、街路樹としても好まれている。森林浴の効果として、木が発散する芳香性物質のフィトンチッドやマイナスイオンによって、ストレス解消、心肺機能の強化、疲労回復などの効果があるといわれている。季節ごとに美しい景観を見せる並木道として知られている。
トイレ博物館
2001年7月11日に開館し、 東洋と西洋のトイレの歴史や関連用品を展示しているトイレの専門展示館。148,32㎡規模の施設内には、韓国忠清南道扶餘郡で発見された男女の便器や、朝鮮時代に王が使った木製の便器、仏国寺の水洗式便所、西洋の椅子型便器など、他では見られない珍しい展示物がある。
周辺の見所
ラフェスタ(La festa)
商業施設と文化施設が融合した、新感覚のストリート型テーマショッピングモールである。約2万坪の敷地には、長さ300mで最大幅28mの“ラフェスタ文化通り”を中心に、地下1階から地上5階までの6つの棟が立ち並んでいる。各棟はオペラハウスにある、テラスのような橋で連結されている。
“ラフェスタ”の意味は、「La」がフランス語の女性冠詞、「Festa」がイタリア語の祭りという意味で、この二つの言葉をを合わせて、「365日繰り広げられる楽しいお祭り」を意味している。
ファッション、雑貨、フードコート、専門食堂街、テーマカフェ、ゲームセンター、書店、映画館などのさまざまな施設が整っている。通りの中心には丸い野外公演会場があり、週末はもちろん、平日にも多様な公演が繰り広げられている。
全国的に珍しいストリート型のショッピングモールであるラフェスタと共に一山の代表的な商業施設となっている。
“現代式の伝統市場”をコンセプトに、地下2階から地上10階まで、約500店舗が入っている。世界各国の有名な飲食ブランドをはじめ、ファッション、雑貨、化粧品、IMAX館、映画館、オフィスタウンなどのさまざまな施設で成り立っている。歩行者の動きに合わせて、見やすく買い物がしやすいように建物が配置されているのが特徴で、高陽市の芸術家たちが参加した多様な美術作品も各所に展示されている。
夜にはドーム型の天井が、色とりどりの照明でライトアップされ、広場ではさまざまな公演やイベントが行われている。
一山MBCドリームセンター
韓国のテレビ・ラジオ放送局として知られるMBC(文化放送)の一山制作センターである。2007年にMBCドリームセンターが開設され、人気バラエティ番組『無限挑戦』をはじめ、ドラマ、ショーの制作拠点となっている。公開ホールやスタジオ、最高の音響システムを整えた施設で構成されている。モダンなデザインの外観は、一山湖水公園の景観とも一体となっている。
キンテックス(KINTEX)
韓国内の展示・コンベンション面積の供給不足を解消して、韓国の展示・コンベンション産業のグローバル化を達成するために設立された。2005年4月29日にオープンして以来、各種企業の展示会、モーターショーなど、さまざまな展示会やイベントが行なわれている。 広大な敷地には地上3階建ての展示・コンベンション施設が整っている。展示館の拡張工事が進み、全ての展示館が完成すると約33万㎡の敷地に、展示面積17万8千㎡の施設が整い、アジア最大規模の展示場となる。
一山湖水公園(イルサンホスコンウォン)(韓国語 일산호수공원) | |
住所 | (日本語)京畿道 高陽市 一山東区 獐項2洞906 (韓国語)경기도 고양시 일산동구 장항2동906 |
電話番号 | 031-906-4557 |
入場料 | 無し |
ホームページ | http://www.lake-park.com/(韓国語) |